減食だけでやせようとすると
やせるためにしなければならないことの第一は、いうまでもなく食べる量をへらすことです。
でも、それだけでよいのでしょうか……….
肥満した人はさまざまな病気にかかりやすく、また死亡率も高くなる傾向があります。
にもかかわらず、健康の面では太っているほうが安心だと考えている人がいます。
やせると体力がなくなり、病気に対して抵抗力がなくなるから、というのがその理由です。
この人たちの言うやせるとは、どうやら体のあちこちのあらゆる組織が減ってしまった状態をさしているようです。
このような痩せ方、つまり減食によってただ体重が減ることだけを目指すのは確かにさまざまな問題があります。
まず、体の全ての代謝が低下してきて、貧血になったり肝機能障害を起こしたりします。
ホルモンの分泌も低下していろいろな病気になったり、女性であれば生理が止まったりします。
減量できたとしても健康をそこなってしまうことが多いのです。
また、行き過ぎた減食は筋肉を減らしてしまいます。
筋肉が減ると、かえって脂肪が減りにくくなり、減量効果を弱めかねません。
たとえタンパク質を十分にとったとしても、減食だけではどうしても筋肉も減ってしまいます。
筋肉の消失量が減量分の30%くらいを占めてしまうことさえあるのです。
健康的に痩せるためには運動も必要です
このように、減食だけで体重を減らそうとするのは、はっきり言って間違っています、
やせるとは、脂肪だけを減らすことです。
脂肪分を除いた体重(筋肉や内臓)は、なるべく減らさないようにすることです。
では、減食だけではない正しいダイエットとはどうやればいいのでしょうか。
運動を加えることです。
減食はほどほどにして運動を同時に行なうほうが、減食だけよりも体も弱らず、脂肪もよく落ちて減量効果も大きくなります。
つまり、無理なく健康的にやせられるのです。
もうすでにかなり太っている人には、特に運動がすすめられます。
というのは、肥満した人は、体の動かし方が少ない傾向にあるうえ、とかく運動しないですむようにと無意識のうちにいろいろと工夫してしまいがちだからです。
このように体を動かすことが少なくなると、一方で、どうしても食べ物を口に運ぶ機会が多くなりやすいものです。
つまり、太っている人は体を動かさないで食べ物をよく口にするという悪循環に陥ってしまいやすいのです。
この悪循環を断ち切ってやせるためには、体を動かすこと、運動をもっと積極的に生活の中に取り入れることがかかせません。
1ヵ月に1~2㎏ずつの減量が目標です
ダイエットに成功するためには、やせようとする決意と、つづけようとする意志を持つことです。
こうした決意や意志を強くしてくれるのが、しっかりとした減量目標、すなわち、どのくらいの期間に何㎏減らすかの目標です。
では、具体的な目標としては、どのくらいのペースでやせるのがよいのでしょうか。
効果的で健康的な減量としては、1ヵ月に1~2kgずつといったペースをおすすめします。
一日の食事量から、それほど我慢しなくても減らせる量は500kcalといわれています。
そこで、やせるためにそれだけ減らすとします。
この一日500kcal減によって1か月では1万5000kcal減らすことになります。
脂肪は1㎏あたり7000kcalのエネルギーを持っているので、1か月でおよそ2㎏体重が減る計算になります。
ところが、減量を始めると体の方が基礎代謝量を落として体重が減らないように働き始めます。
このため、1日に500kcal減らしても実際には300kcalを減らしたくらいの効果しかあがりません。
したがって、1か月に必ずしも2㎏ではなく、1~2㎏の減量ということになります。
こうした計算で1か月に1~2kg、半年で5~10㎏という先程のダイエット目標がでてきます。
ずいぶんのんびりペースだなあと思われる人もいるかもしれません。
しかし、あまりにも急激に減食をすると、健康を害して病気になりかねません。
女性であれば、皮膚のたるみやしわなど美容上けっしてありがたくない事態を招く可能性もあります。
やはり、多少ゆっくりであっても月に1~2㎏のペースで着実にまちがいなく減量するのがベストです。
これくらいのペースでやせていくのがリバウンド現象も起こりにくくなります。
ただし、これらの目標はあくまで一つの目安です。
減量の進み具合には個人差があります。
目標は自分自身でたてることが大切です。